
「『在ります』という漢字を見かけたけれど、どのような意味なの?」
「『有ります』や、ひらがなの『あります』とは何が違うの?」
文章を書いていると、同じ「あります」でも漢字にするべきか、ひらがなにするべきか迷うことがありますよね。普段は何気なく使っている言葉だからこそ、いざメールや案内文に書こうとすると、不安になる方もいるのではないでしょうか。
「在ります」は、物や場所などが存在していることや、その所在地を表す言葉です。漢字で書いても間違いではありませんが、現代の一般的な文章では、ひらがなの「あります」が広く使われています。
この記事では、「在ります」の意味と読み方をはじめ、「有ります」「あります」「います」「ございます」との違いを、やさしい例文とともに解説します。自然で読みやすい文章を書くための参考にしてくださいね。
そもそも「在ります」とは?意味と読み方
「在ります」は、日常でよく使う「あります」を漢字で表した書き方の一つです。まずは、読み方や成り立ち、基本的な意味から確認していきましょう。
「在ります」は「あります」と読む
「在ります」の読み方は、ありますです。
「在」という漢字には、「そこにいる」「その場所にとどまる」「存在する」といった意味があります。そのため「在ります」は、物や場所などがそこに存在することを伝える表現として使われます。
たとえば、次のような文章です。
- 駅の近くに図書館が在ります。
- 受付は建物の一階に在ります。
- 必要な資料は机の上に在ります。
いずれも、「何かがその場所に存在している」という意味で使われています。
動詞「在る」に「ます」を付けた丁寧な表現
「在ります」は、動詞の「在る」に、丁寧さを表す「ます」を付けた形です。
「在る」だけでも存在や位置を表せますが、「在ります」にすると、相手に丁寧に伝える言い方になります。
- 公園は川の向こう側に在る。
- 公園は川の向こう側に在ります。
上の二つは基本的に同じ内容です。ただし、「在ります」のほうが丁寧な語調になっています。
物や場所の存在・所在を表す
「在ります」が表すのは、主に物や施設などの存在と所在です。
「存在」は「何かがあること」、「所在」は「何かがどこにあるか」と考えるとわかりやすいでしょう。
「駅前に銀行が在ります」なら、銀行が存在することを伝えています。一方、「銀行は駅前に在ります」なら、銀行がどこにあるかを伝える表現です。
言葉の並び方によって伝えたいポイントは変わりますが、どちらも「在る」が持つ存在や場所の意味が基本になっています。
「在ります」は正しい日本語?
「在ります」は、日常生活ではあまり見慣れない表記かもしれません。そのため、「漢字で書くと間違いなのでは?」と思う方もいるでしょう。
漢字で「在ります」と書いても間違いではない
物や場所の存在を表す場面で「在ります」と書くこと自体は、間違いではありません。
「在る」という動詞があり、その丁寧な形として「在ります」が成り立つためです。特に、何かが存在する場所を意識させたい文章では、意味に合った漢字表記といえます。
ただし、正しい表記だからといって、どの文章でも漢字にする必要があるわけではありません。相手にとって読みやすいか、文章全体になじんでいるかも大切なポイントです。
現代の文章では「あります」が一般的
現在のメール、案内文、ブログ、商品説明などでは、ひらがなの「あります」がよく使われています。
たとえば、「近くに駐車場があります」「資料は受付にあります」と書けば、意味は自然に伝わります。わざわざ「在ります」と漢字にしなくても、内容が曖昧になることはほとんどありません。
ひらがなは漢字よりも見た目がやわらかく、文章をすらすら読みやすくする働きもあります。「在ります」と「あります」のどちらにするか迷ったら、ひらがなを選ぶと無難です。
「在ります」は硬い印象を与えることがある
「在ります」と漢字で書くと、存在や所在地が強く意識される一方、少し硬い、古風であると感じる人もいます。
たとえば、「お問い合わせ窓口は一階にあります」は、親しみやすく自然な案内です。「お問い合わせ窓口は一階に在ります」とすると、間違いではないものの、やや重い印象になるかもしれません。
ブログや一般のお客様向けの案内など、読みやすさを大切にしたい文章では「あります」が使いやすいでしょう。
「在ります」と「あります」の違い
「在ります」と「あります」は、読み方が同じです。では、意味や使い方にはどのような違いがあるのでしょうか。
基本的な意味に大きな違いはない
「在ります」と、ひらがなの「あります」は、どちらも何かの存在や状態などを伝える言葉です。表記は異なりますが、文の内容が大きく変わるわけではありません。
- 駅の隣に交番が在ります。
- 駅の隣に交番があります。
どちらも、駅の隣に交番が存在することを表しています。普段の文章では、後者のほうが読み慣れていると感じる方が多いでしょう。
漢字とひらがなでは文章の印象が変わる
意味がほぼ同じでも、漢字とひらがなでは見た目の印象が異なります。
「在ります」は、場所や存在をはっきり意識させる表記です。一方、「あります」は用途を限定しにくく、やわらかい印象になります。
漢字が多い文章に「在ります」を加えると、全体が少し詰まって見える場合もあります。反対に、ひらがなが多すぎる文章では、必要に応じて漢字を使うと意味をつかみやすくなることもあります。
大切なのは、漢字を使うこと自体ではなく、読む人が無理なく内容を理解できることです。
迷ったときは「あります」を選ぶと自然
特別な表記ルールがない場合は、「あります」と書けば幅広い文章になじみます。
日常的なメール、職場の連絡、ブログ、施設案内などにも使えます。「在ります」と「有ります」のどちらの漢字が合うか迷ったときにも、ひらがなにすれば不自然な使い分けを避けられます。
無理に漢字へ変換せず、「読みやすい文章にする」という視点で選んでみてくださいね。
「在ります」と「有ります」の違い

漢字で書く「在ります」と「有ります」は、どちらも「あります」と読みます。ただし、漢字が表す意味には違いがあります。
「在ります」は存在や所在を表す
「在ります」は、人以外の物や施設などが存在することや、その場所を表すときに使われます。
- 棚の上に案内冊子が在ります。
- ホテルは駅の正面に在ります。
- 会場の奥に休憩スペースが在ります。
「何があるか」「どこにあるか」が中心になっているのが特徴です。漢字の「在」から「所在地」「在宅」「現在」などを思い浮かべると、場所や存在とのつながりを覚えやすいでしょう。
「有ります」は所有や備わった状態を表す
「有ります」は、何かを持っていることや、予定・特徴・条件などが備わっていることを表す書き方です。
- 午後なら少し時間が有ります。
- 来週は大切な予定が有ります。
- この商品には便利な機能が有ります。
形のある物だけでなく、時間や予定、可能性など、目に見えない事柄にも使われます。「所有する」「有している」という言葉を思い浮かべると理解しやすいでしょう。
ただし、「駐車場が有ります」のような表現では、駐車場が設備として備わっていることを示します。「駅前に駐車場が在ります」であれば、駐車場が存在する場所に注目した表現です。
判断が難しい場合はひらがなで書く
実際の文章では、「在ります」と「有ります」を必ず厳密に使い分けなければならないわけではありません。
「この建物には駐車場があります」と書けば、設備が備わっている意味にも、駐車場が存在する意味にも自然に読めます。ひらがなにすることで、漢字の細かな違いを気にせず内容を伝えられるのです。
「場所に存在するなら在る」「持っている・備わっているなら有る」を一つの目安にしつつ、迷った場合は「あります」を選ぶとよいでしょう。
「あります」と「います」の使い分け

存在を伝える言葉には、「あります」だけでなく「います」もあります。この二つは、対象によって使い分けるのが基本です。
物・場所・出来事には「あります」を使う
物、建物、場所、予定、出来事などには、一般的に「あります」を使います。
- テーブルの上に花瓶があります。
- 駅の近くにカフェがあります。
- 明日は大切な会議があります。
- 今週末に地域のお祭りがあります。
自分の意思で動くものではない対象に使う、と考えるとわかりやすくなります。
人や動物には「います」を使う
人や動物の存在を表す場合は、「います」を使うのが自然です。
- 受付に担当者がいます。
- 公園に子どもたちがいます。
- 玄関の前に猫がいます。
- 池には魚がいます。
「会議室に部長があります」と言うと、人を物のように扱っている印象になってしまいます。「会議室に部長がいます」とすれば、自然に存在を伝えられます。
植物には基本的に「あります」を使う
植物は生き物ですが、人や動物のように自分の意思で移動しないため、一般的には「あります」を使います。
- 庭に大きな木があります。
- 窓辺に観葉植物があります。
- 道沿いにきれいな花があります。
「木がいます」「花がいます」とは通常言いません。基本的には、「人や動物にはいます」「物や場所、植物にはあります」と覚えておくと判断しやすいでしょう。
「あります」と「ございます」の違い
「ございます」は、接客やビジネスの場面でよく耳にする言葉です。「あります」と意味は似ていますが、丁寧さに違いがあります。
「ございます」は「あります」の丁寧な表現
「ございます」は、「あります」をさらに丁寧にした表現です。相手への敬意を込めたいときや、改まった雰囲気にしたいときに使われます。
- こちらに記入欄があります。
- こちらに記入欄がございます。
どちらも丁寧な文ですが、「ございます」のほうが、よりかしこまった印象になります。
接客やビジネスでは「ございます」が適している
店舗でのお客様への案内、取引先への説明、式典の進行などでは、「ございます」がよく使われます。
- 試着室は店内の奥にございます。
- ご不明な点がございましたら、お知らせください。
- 資料はこちらにございます。
ただし、「ございます」を使えば必ずよいというわけではありません。相手との関係や場面に合わせて、自然な丁寧さを選ぶことが大切です。
日常会話では「あります」が自然
友人や家族との会話、親しみやすいブログ記事などでは、「あります」のほうが自然です。
「冷蔵庫に飲み物がございます」と家族に伝えると、少し距離のある話し方に聞こえるかもしれません。「冷蔵庫に飲み物があります」や「飲み物があるよ」と言えば、普段の会話になじみます。
丁寧さを重ねすぎると、かえってよそよそしく感じられることもあります。相手や文章の雰囲気に合わせるようにしましょう。
「在ります」「あります」の使い方がわかる例文
ここでは、実際の場面を想定した例文を紹介します。漢字の「在ります」も使えますが、一般的な読みやすさを考え、ひらがなの例を中心にしています。
場所や施設の存在を伝える例文
周辺に何があるかを伝える場合は、「場所に施設があります」という形が便利です。
- 駅の東口に交番があります。
- ホテルの近くにコンビニがあります。
- 公園の中に小さな休憩所があります。
- 建物の裏側に専用の入口があります。
この形では、「その場所に何が存在するか」が伝わります。道案内や施設紹介にも使いやすい表現です。
物の置き場所を伝える例文
すでに話題になっている物の場所を伝える場合は、「物は場所にあります」という形を使います。
- 鍵は玄関の引き出しにあります。
- 予備のタオルは洗面所の棚にあります。
- 申込書は受付のテーブルにあります。
- 説明書は箱の中にあります。
相手が探している物について、「どこにあるか」を答えるときに自然な形です。
メールや案内文で使える例文
仕事のメールや案内文でも、「あります」は幅広く使えます。
- ご案内の内容に一部変更があります。
- 詳細は添付ファイルにありますので、ご確認ください。
- ご質問がありましたら、お気軽にご連絡ください。
- 会場内には休憩スペースがあります。
より改まった表現にしたい場合は、「変更がございます」「ご質問がございましたら」のように言い換えられます。
「があります」と「にあります」は何が違う?
「あります」の前に付く助詞によって、文章の中心となる情報が変わります。よく使われる二つの形を見てみましょう。
「場所に物があります」は存在を伝える
「場所に物があります」は、その場所に何が存在しているかを伝える形です。
- 冷蔵庫に牛乳があります。
- 引き出しに予備の電池があります。
- 駅前に郵便局があります。
たとえば「飲み物は何かある?」と聞かれたとき、「冷蔵庫に牛乳があります」と答えれば、牛乳が用意されていることを伝えられます。
「物は場所にあります」は所在を伝える
「物は場所にあります」は、話題になっている物がどこにあるかを伝える形です。
- 牛乳は冷蔵庫にあります。
- 予備の電池は引き出しにあります。
- 郵便局は駅前にあります。
「牛乳はどこ?」「郵便局はどこですか?」と尋ねられたときの答えとして使えます。すでに何を探しているかわかっている場合は、「冷蔵庫にあります」「駅前にあります」と、前半を省略しても自然です。
助詞によって文の焦点が変わる
「駅前に郵便局があります」は、駅前に郵便局が存在することを紹介する文です。「郵便局は駅前にあります」は、郵便局の所在地を案内する文です。
また、「駅前にあります」と「駅前があります」では意味が異なります。「駅前にあります」は、話題になっている物や施設の場所を示します。一方、「座れる場所があります」のような「場所があります」は、場所そのものが存在するという意味です。
「何があるのか」を伝えたいのか、「どこにあるのか」を伝えたいのか考えると、助詞を選びやすくなります。
「在ります」を文章で使うときの注意点
「在ります」を使う際は、正誤だけでなく、文章全体の読みやすさや統一感にも目を向けてみましょう。
漢字を多く使いすぎない
漢字を多くすれば、文章が正式に見えるとは限りません。「在ります」「有ります」のような表記を続けると、文章が硬く、読みにくくなる場合があります。
特に、幅広い年代が読むブログやウェブサイトでは、適度にひらがなを使うと内容を追いやすくなります。「あります」は使用する回数が多い言葉なので、ひらがなにすると文章の見た目にも余白が生まれます。
記事や文書の中で表記を統一する
同じ意味で使っているのに、「在ります」「有ります」「あります」が一つの文章内に混在すると、読者は「何か意図的な違いがあるのかな」と迷ってしまうかもしれません。
明確に意味を分ける必要がなければ、「あります」にそろえると文章がすっきりします。「在ります」を使う場合も、同じ種類の表現では表記を統一しましょう。
記事を書き終えたあとに、文書内検索を使って表記を確認する方法も便利です。
会社や媒体の表記ルールを優先する
会社の文書、新聞、ウェブメディアなどには、独自の表記ルールが設けられていることがあります。その場合は、一般的な使い分けよりも、所属先や掲載先のルールを優先しましょう。
過去の資料や同じサイト内の記事を確認すると、どの表記に統一されているかわかることがあります。複数人で文章を作る場合は、あらかじめ表記を決めておくと修正の手間も減らせます。
「在ります」の意味と使い分けまとめ

「在ります」は「あります」と読み、物や場所などの存在・所在を表す言葉です。「在る」に丁寧さを表す「ます」を付けた形なので、漢字で書いても間違いではありません。
ただし、現代の一般的な文章では、ひらがなの「あります」が多く使われています。「在ります」は存在や場所を意識させやすい一方で、読み手によっては硬い印象になることがあります。
使い分けのポイントを、もう一度整理しましょう。
- 「在ります」は、物や施設の存在・所在を表す
- 「有ります」は、所有や備わっている状態を表す
- 一般的で読みやすい文章には「あります」が使いやすい
- 人や動物の存在には、基本的に「います」を使う
- 接客や改まった場面では「ございます」がなじみやすい
- 漢字に迷った場合は、ひらがなの「あります」を選べば自然
漢字の意味を知っておくと、文章の意図に合った表記を選びやすくなります。一方で、細かな違いを意識しすぎる必要はありません。
読む人にとってわかりやすく、文章全体の雰囲気に合っているかを考えることが大切です。迷ったときは、やわらかく幅広い場面で使える「あります」を選んでみてくださいね。

